Fラン大学はどうすべきか、武井壮さんのFラン批判について考える (前半 – 補助金編)


元陸上競技選手・タレントとして有名な武井壮という人がいます。「何でもできる、何でもチャレンジする、努力の人」といったイメージがある人ですが、そんな武井壮さんがとある番組内でFランク大学の講義内容について手厳しい批判をしたことで、過去にネット上にて大きな反響を呼んだことがありました。

本記事では武井壮さんの批判内容・それに対するネット上の意見について考察を行いました。

●武井壮さんによるFラン批判内容

「もし本当にbe動詞の使い方や漢字を学んでるなら、大学という名を使った、ただのビジネスになっちゃってる」
「大学って高等教育だから、学費もそこそこ払っていくワケで」「だったら『卒業させない』をやらせないとダメ」
(カリキュラムの存在について)「こういったものを習得すべきって場所なんだから」「テストして点数取れない、単位が取れない、卒業できないをさせてあげないと」
「『うちはFランクだから、レベルの低い学生がいるから、中学校でやることをやります』っていうのは大学じゃない」

引用 : http://news.livedoor.com/article/detail/12614021/

●ネット上で見られた意見

「私立大学はビジネスだからそんなものだ」
「Fラン大に行ってbe動詞が分かるようになれば価値があるんじゃないか、実務上高校で留年はありえないし」
「卒業しにくくさせる、というのは飛躍しすぎている」
「Fランに行く人は就職のためというより何をするか決めるために通っている」

●Fランはただのビジネスなのか?

「Fランク大学はただのビジネスになってしまう」とありますが、Fランに国公立大学はない以上必ず私立大学となり、そういった意味では大なり小なりビジネスであることは事実です。この批判について正しく理解するためには、「大学が本来どういったものであるべきか」といったところから考えてみる必要があるでしょう。

大学のあるべき姿について考えるために、まずは法律における定義を見てみましょう。

大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。
教育基本法第2章第7条

もちろん武井壮さんがこの定義そのものを前提として批判を行っているわけではないと思いますが、皆さんが大学に対して抱くイメージはおおむね上の定義と同じようなものではないでしょうか。つまり、「大学は専門的で高いレベルの教育と研究を行う場所である」ということです。そういったイメージにのっとるのであれば、学力の低い学生向けにbe動詞の使い方を教えるような教育機関は「大学ではない」と言えます。

…とは言え私立である以上、学費を払ってくれる顧客である学生のレベルを無視することはできないのではないでしょうか? この問題を考える上でよく引き合いに出されるのが「私立大学に対して出される補助金」です。

●学生一人あたり15万円の補助金!?

私立大学に交付される補助金、正式には「私立大学等経常費補助金」と呼ばれます。日本私立学校振興・共済事業団という組織を通じて国から交付が行われ、その総額はおよそ3000億円超で推移しています。

といってもピンとこない数字でしょうので、少しずつくだいて見てみましょう。この補助金を受け取る私大総数はおよそ600校。つまり1校あたりおよそ5億円超。また学生ひとりあたりで見た場合の交付額はおよそ15万円となります。

こうやって考えると少々気になってくる額かもしれません。日本における全私大中のFランク大学の割合はおよそ4割と言われていますので、補助金の総額で言えば (学校数による単純計算で) 1200億円、18歳にもなってbe動詞を勉強してウェーイする学生のために1人あたり15万円の税金が使われているわけですね。

参考 : Fラン大学の実態と授業風景 概論
参考 : Fラン大生の合コンの実態 女子学生篇
参考 : Fラン大生の合コンの実態 男子学生篇

ちなみにこの補助金がどれだけ大学の役に立っているかと言うと、大学運営にかかる経常的経費の総額に対する補助金割合は全体でおよそ10%になります。ある程度経営のことを勉強された方や実務経験のある方はお分かりかと思いますが、これはけっこう「おいしい」金額ですよね。

まとめると、確かに大学運営は補助金の存在について考えれば比較的やりやすいビジネスになります。そしてその補助金は教育基本法によると「高い教養と専門知識を培う」ために出ていると考えられます。また補助金についてだけでなく、一般的に大学 (そして大卒という肩書) に期待に期待される役割から見ても、武井壮さんの「ただのビジネスになってしまっている」という批判は至極まっとうだと考えられますね。

●ではバカ学生を卒業させなければ良いのか

武井壮さんのもうひとつの論点「卒業させない、をやらないとダメ」について考えてみます。

たとえFランと言えど授業レベルは「大学」らしい高度で専門的なものを行い、ついていけない生徒には卒業の資格を与えない、というものです。

これについては更に多くの観点から見てみる必要がありますので、次の記事で考察します。
後半はこちら → Fラン大学はどうすべきか、武井壮さんのFラン批判について考える (後半 – 卒業要件編)

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