Fラン大学はどうすべきか、武井壮さんのFラン批判について考える (後半 – 卒業要件編)


「努力の人」武井壮さんによるFラン大学批判への考察、後半は「Fラン大学は卒業要件を厳しくするべきかどうか」についてです。

なお前半では全国の私立大学に交付されている補助金の面から、Fラン大学の必要性について考えました。
参考 → Fラン大学はどうすべきか、武井壮さんのFラン批判について考える (前半 – 補助金編)

武井壮さん曰く、「たとえFラン大学でも (事前に掲げたカリキュラム通り) 授業のレベルは落とさず、卒業させないことも辞さないようにすべき」とのことです。

果たしてこの武井壮さんの主張に正当性はあるのか、様々な立場から考察してみました。

●大学生から見た場合

勉強は今までまともにしてこなかったし、まともな高卒の学力もない。
将来にビジョンもないために、このまま社会に放り出されると困る。
まぁ取りあえず大学に行っておけば、あと4年間は遊んで過ごせるだろう。

これが典型的なFラン大学生の特徴・思考回路です。
参考 : 典型的な頭が悪いFラン大学生の特徴とバカな理由まとめ

あくまで彼らの気持ちだけを考えた場合、「授業レベルを高め卒業を難しくすべき」という武井壮さんの主張は迷惑千万ですね。高い学費を払ってせめて形だけでも大卒の肩書を手に入れよう、という彼らの将来設計(?)が潰えてしまうわけですから。

もちろん卒業難度が上がることで奮起し、知識やスキルを身に付けて「まともな大学卒業生」へとレベルアップできる学生も中にはいるでしょう。とは言えほとんどは今まで (小中高の12年間) 勉強をロクにしてこなかった人たちですので、急に大学で環境のレベルが上がったところで焼け石に水…なのではないでしょうか。

大学に入ってはみたもののやはり付いていけずに中退、そもそも卒業できなさそうだから行かない、ということで世の中に高卒止まりの人間が増える結果になるかもしれません (とは言え肩書が変わっただけで学力的には上がることも下がることもないはずです)。

●大学から見た場合

上記のように、本来の大学教育にそぐわない学生たちをターゲットにしていたのがFラン大学です。

まともな高卒の学力もない学生たちを相手に、巷では中学生向けの学習塾でもやらないようなことを教えることで、安定して4年間分の学費を回収することができるわけです。

もしここで「授業レベルを上げるように」「卒業要件を厳しくしろ」という国からのお達しが出たらどうなるでしょうか。Fランク大学の運営者としては、学生たちと同じでやはり困ってしまうのではないでしょうか。

中には評価が厳しくなることで留年を繰り返し、長年に渡って学費を納入してくれる学生もいるかもしれません。とは言え設備の規模や教授・大学職員の数など、現在あるリソースに対して適当な学生数というものがあるはずです。大学内部に留まる学生が増えることで、すぐに収益だけが増えるというわけではありません。

また何より上述したように、やがては卒業資格がそう簡単に得られないことが分かった時点で、入ってくる学生数の減少の方が上回ることになるでしょう。

単純に大学のレベルを上げようとしたところで、世の中には既にEランク以上の大学は十分にありますので、Fラン大学そのものの存在意義がなくなってしまいます。それこそ専門学校のように、学力に対して職能を重視する方向に舵をとらざるを得なくなるわけです。

●企業から見た場合

卒業要件が厳しくなることで一番メリットがあるのは、大量の新卒採用を行う企業なのかもしれません。

就職活動を行ったことのある方なら分かるかもしれませんが、多くの企業の一括採用は大学卒業者を対象に行われています。

ではFラン大でも卒業していれば希望があるのかというと、実はそういうわけにはいきません。本来であれば大卒の時点で一定の学力が保証されていれば良いのですが、現状「大卒の4割はbe動詞や四捨五入がギリギリ分かるレベル」なわけです。そうすると大学名で一気に足切りをせざるを得ません。

参考 : 中卒・高卒者の就職先よりひどい、Fラン卒の就職先をまとめてみた
参考 : 就活から見たFラン大学〜企業から見るとFランク大学はどういう位置づけなのか?〜

それも数あるFラン大学のリストを管理するだけでも大変ですので、レベルの高い有名どころから順に通していきます。その結果企業間で優秀な学生ばかりを奪い合う形になりますので、就活・採用は長引き、企業にとっても学生にとっても負担になってしまうわけです。これはあまり学生から人気でない企業に関して顕著になります。

ではもしFラン大学の卒業要件が難しくなった場合、何が変わるのでしょう。まず世の中の新卒から (企業にとって) 詐欺レベルの学生がいなくなります。つまり大学を出ている時点で最低限の学力が担保されるわけです。

あるていど下のレベルの (有名大学でない) 学生に手を出してみても、ハズレくじを引く確率が低くなります。もちろんどの企業もできるだけ優秀な人材が欲しいことは事実ですが、同時に早く採用を切り上げて来年度の新入社員を確定し、余った時間は他の仕事や事前研修に回したいものです。

Fラン大学の卒業要件が厳しくなることは、最終的に企業側の余裕につながるわけですね。

最後にまとめますと、武井壮さんの主張はFラン学生やFラン大学にとって有り難いものとは言えませんが、企業としては採用にかかる負担を減らすことなると思われます。日本全体を見た場合、やはり経済の主体は個々の企業活動にありますので、そういった意味で武井壮さんの主張には正当性がある、と考えられるのではないでしょうか。

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