【自治医大】医師国家試験合格連続1位・学費無料には罠がある?!国公立併願不可?!ナゾ医大の理由

自治医科大学は敷地内に附属病院を持つ医療系大学です。勿論Fランではありません。
2000万の学費が無料、医師国家試験合格10年連続1位という驚きの特典が付いています。半世紀前の自治医科大東京の倍率は200倍という狂気の沙汰だったそうです。


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共テ800点超え、旧帝大、地方大医学部を狙う学生が自治医大を目指す理由は何でしょうか。

学費無料には罠がある理由。国公立併願が何故できないのか。受験時に県庁に面接に行かなくてはいけない理由など、他の医学部で見られない謎まみれの自治医大、解説させて頂きます。

自治医科大学は僻地医療の充実を目的に作られた大学

自治医科大学が作られたのは’72年(昭和47年)。僻地医療充実を目的に総務省主導で作られた公設民間大学です。医学部と看護学部の2学部で構成されていて、看護学部は夏と冬に一般選抜試験が行われます。

医学部はカリキュラムも入試も独特で『国試合格100%、地域医療貢献を目的』にしているのが判ります。良い意味で地元愛がある学生さんにはお勧めしますが、転勤族の様に様々な所で働きたい方には不向きな大学です。

学費が免除されている理由は卒業後に9年間指定の病院(もしくは診療所)で働く必要があるからです。その内訳は以下の通りです。

  • 付属大学で2年間臨床医として勤務
  • 2年間研修医として勤務
  • 4~5年、僻地診療所もしくは、地方病院勤務

9年間の義務勤務年数を終えた卒業生は出身地に帰り医師となります。勤務医となる卒業生が7割。開業医が2割。他の1割が研究生という内訳です。卒業生の地元密着率が一番高いのは新潟の9割、続いて岩手、沖縄の8割で、最も低いのが東京、大阪の5割です。

自治医科大学の入試概要

自治医科大学の入試概要は、医学部と看護学部で大きく異なります。

医学部は定員100名。一次試験は全国都道府県で選抜試験が行われます。

各都道府県の保健福祉部もしくは健康福祉部医務課もしくは人材課に生徒本人が入試手続きを行います。願書は大学のHPからテレメールで貰います。

 

  • 受験料は2万円
  • 学力マークシートと県庁面接試験
  • 各都道府県2人しか選ばれない。
  • 東京、大阪の倍率は50倍
  • 数学、英語、物理、化学、生物は基礎応用全て出題範囲

一次に合格すると、二次に進めます。二次は自治医科大が受験会場です。
筆記試験が数学と英語で、面接は集団と個人です。面接が3回もある大学は意外です。

では何故自治医科大を出願すると国公立を受験できないのでしょうか。

国公立受験時期に、大学から電話が来る

自治医科大を受験しても物理的に国公立を受験することはできます。できますが国公立を『絶対』に合格するという保証があればの話です。浪人すれば元も子もありません。

国公立受験前期後期の真ん中の時期に、自治医科大の方から『一次試験合格されたので二次試験受けますか』という意志確認電話がかかってきます。そこまで言われたら美味しい話を捨てるわけにはいきません。

看護学部の入試概要

看護学部の入試概要は夏と冬に募集があり、形式としては一般選抜と総合型選抜を合わせた形になります。入学検定料は3万円です。

第1回:試験日7月中旬
(募集日:6月3週目~6月末:合格発表:7月末、入学手続:8月第1週)
第2回:試験日2月中旬
(募集日1月中旬~1月下旬:合格発表:2月中旬、入学手続:2月末)

学科試験は外国語(英語)と看護学です。4~5月に開催される予約制のオープンキャンパスに出向き受験対策を立てておきましょう。看護学部の進学説明会は日本ドリコムとメディアプランが主催しています。
4月中旬~5月中旬まで、水戸市、さいたま市、宇都宮市、高崎市、郡山市で行われ、6月の説明会は幕張メッセで行われます。

OSCEが3年、臨床が4年?全寮制の自治医科大の独特なカリキュラム

自治医科大の特筆すべき点は、独特なカリキュラムです。付属病院は災害指定病院な為、急性期の患者さんもいます。国試対策や即戦力となる臨床医を育てるという点では最適です。

  • 自由選択制のセミナーを学生が受講し単位所得
  • 2年次からは、各診療科に関する系統講義や解剖学がスタート
  • OSCEは3年で受講
  • 4年でBSL(Bed Side Learning)学年末に判定試験がある。
  • 5年から好きな診療科で、選択必修BSLとして系列病院で勤務
  • 大学生活を通し、国試対策をしながら6年はスチューデントドクターとして勤務

看護学部は看護師保健師両方とるのは難しいですが、その中から年に数人、助産師の資格も取る生徒もいます。
医師国家試験合格率100%全国1位と言われる自治医科大。他にもメリットやデメリットはあるのでしょうか。

大学に馴染む学生にとってはいい大学

自治医科大は地域医療に貢献し、大学に馴染む協調性のある学生にとってはいい大学です。最寄り駅はJR自治医大駅で徒歩10分。僻地とはいえ、最寄り駅からバスというのではないので恵まれていると思います。


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大学前も全くお店がないのではありません。


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サンドイッチの出店もありますし、スターバックスもあります。


@twitter.com/mocomoco94

全寮制で、全室個室。wifi完備。共有スペース有という学生生活から、部活も盛んです。

文科系では、軽音楽部が定期演奏会を開いています。


@twitter.com/route4_jichi

体育会系では、ラグビー部が有名です。


@twitter.com/jichirugby860

唯一のデメリットがあるとするなら、教授との相性が合わないという点や、学費無料につられて入試した学生が後悔したという点でしょう。

自治医科大のまとめ

いかがでしたでしょうか。卒業生の本音が滅多に聞けない、昭和高度経済成長期のOBの話と令和OBの話じゃ雲泥の差というのは、自治医科大学に当てはまります。

自治医科大のまとめは以下の通りです。

  • 栃木県にある総務省主導で設立された公立民営医療系大学
  • 医学部と看護学部があるが、差が歴然としている
  • 医学部の1次試験は全国都道府県から2名ずつ選抜。倍率も雲泥の差。
  • ’70年代後半の医学部一次試験、東京の倍率は150倍を超えていた
  • 医学部のカリキュラムは独特で、卒業後9年間は指定病院で勤務するのが義務
  • 全寮制でコロナ禍の時は、ほぼ外出禁止令が出ていた

学費無料かつ、医師国家試験合格率No1という実績は何者にも代えがたいです。その一方で、医師になるまでの10年間、医学生として『何ができるか』を考えたい人にとっては、他の大学をお勧めします。

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